2019年11月7日にさいたまスーパーアリーナで、階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級決勝戦が行われ、井上尚弥(いのうえなおや、大橋ボクシングジム)が5階級制覇の元世界王者ノニト・ドネア(フィリピン)と戦い、12ラウンドを戦った末、判定勝ちで優勝しました!
ハイレベルな攻防と、お互いがKO寸前まで相手を追い詰める凄まじい展開に興奮しまくりでした。まさに激闘でした。
優勝した井上選手、おめでとうございます!
World Boxing Super Series(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)・・・世界ボクシング団体(WBA、WBC、IBF、WBO)のチャンピオンや世界ランカーがトーナメント方式で戦い、世界一強いボクサーを決める大会。
WBSSバンタム級 参戦選手
バンタム級のWBSSへ参戦した8+1選手です。
- 井上尚弥(日本)WBA正規王者
- ライアン・バーネット(イギリス)WBAスーパー王者
- ゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)WBO世界王者
- ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)
- エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)IBF王者
- ミーシャ・アロイヤン(ロシア)
- ノニト・ドネア(フィリピン)
- ジェイソン・モロニー(オーストラリア)
- ステフォン・ヤング(アメリカ合衆国)※ゾラニ・テテの替わりに途中参加
井上尚弥 WBSS決勝戦までの戦績
井上尚弥の決勝戦までの戦績です。
一回戦
2018年10月7日:井上尚弥vsファン・カルロス・パヤノ 1ラウンドKOで井上の勝利!
準決勝
2019年5月18日:井上尚弥vsエマヌエル・ロドリゲス 2ラウンドKOで井上の勝利!
圧倒的な強さで決勝まで勝ち上がった井上選手でした。
WBSS決勝戦 試合の詳細
最終ラウンドまでもつれ込んだ試合の詳細です。
引用サイト:スポーツナビ「WBSS決勝 井上尚弥vs.ドネア」
1R
互いに距離を取って間合い、相手の様子を探る。
2R
井上は圧力を強めていき、右ストレートからの左フックでドネアをよろめかせる。しかしドネアの左フックで井上は右目から出血。ドネアは圧力を強めてくる。
3R
ドネアが前に出てくる。井上の右ボディストレートにドネアは左フックをカウンターする。
4R
井上は右のガードをしっかり顔の横につけている。中間距離で井上が放った左フックはドネアがブロック。ラウンド最後はドネアが逆に左ジャブの連打から右ストレートで井上を襲う。
5R
ドネアは右ストレートから左ボディ。続けて右ストレートもドネアに軽くヒット。しかし井上の右ストレートが当たると、ドネアは一瞬腰が落ちる。井上は左右のフックを振るってドネアを追う。だがドネアはダッキングで当てさせない。
6R
ドネアの右ストレートをかわしつつ井上は左フックを放つが、これはドネアがブロック。見切りができてきた様子の井上はドネアの右ストレートをかわした直後に右ストレート。だが、ドネアも相打ち覚悟で左ジャブ、右ストレートと振るってくる。
7R
井上は大きくステップを踏みリングを左回り。ドネアがジャブを伸ばしても井上は見切って当てさせない。ドネアの右ストレートも井上はやはりバックステップ。ドネアはさらに右ストレートを放つが、ここも井上はバックステップを合わせて不発に終わらせる。
8R
前に出てくるドネアに対し、井上は左ジャブの上下打ち。井上がボディを狙ったが、頭を下げたところをドネアは右ストレートを打ち下ろし、井上はこれにやや動きが止まる。ドネアはさらに右フック、右ショートストレートと井上をとらえる。ドネアは左ボディから左フック、右ストレートとつなげ、右目から再び出血の見られる井上を追っていく。
9R
井上はステップを戻し左回り。ドネアはやや足に活力の感じられない井上に対し、圧を掛けていく。左ジャブで井上のあごを跳ね上げると、ドネアは続いて右ストレート。さらに右ストレートをフォローすると、井上は大きく体が揺らぐ。ドネアの攻勢を止めんと井上はクリンチ。しかしドネアはこれを振りほどき、再び右ストレートのヒットを狙う。両者狙っているが、手数が少ない。この間に回復を図る井上。右目横・鼻から出血がみられる井上だが、ドネアが体ごと入ってくる右ストレートはかわす。
10R
井上は距離を取り、フットワークでリングを左回り。ジャブを放ち、ドネアの左フックはダッキングし、左ジャブを突きながら前に出る井上。ドネアは手数を出さず井上を誘っているか。井上はしかし警戒し過ぎず、右ストレート、左フックと強打するがクリーンヒットを得られない。井上がジャブから左ボディフックを当てるとドネアも右ストレートを当て返す。ドネアのジャブに井上は右ストレートをカウンターで巧打。さらに右ストレートを当てるとドネアは体が揺れる。
11R
井上は前のラウンドに当てた右ストレートを再びヒット。そこから左ボディフックをつなげ、さらに右ストレート、右クロスと好戦的に攻める。だが、ドネアも引かずにフックを顔・ボディと振るう。場内は「尚弥」コールで井上を後押し。ここで井上の右アッパーから左ボディにドネアは顔をしかめ、自ら距離を取ると座り込んでダウン。立ち上がったドネアはクリンチに来るが、ダメージが隠せず手が出ない。フック・アッパーと立体的に攻める井上だが、ドネアの左フックがかすめて井上も一瞬動きが止まる。井上はジャブから右フック、そして再び左ボディフック。さらに左ボディから左フックと井上が攻めるが、ドネアも倒れない。
12R
井上はダメージのあったボディに追撃。井上が右ストレートを伸ばすとドネアは後退。ドネアの左ボディにも井上は右ストレートをカウンターする。最後はドネアがKO狙いの左右強打を振るうが、井上が当てさせず終了。
判定
判定は116-111、117-109、114-113の3-0で井上が勝利しました!
試合の感想
とにかくすごすぎる、ドラマチックな試合でした。
2Rに井上が右目をカットしてからはドネアペースで試合がすすみます。
9Rに井上がダウン寸前まで追い詰められたときは「あのモンスター井上がついに負けてしまうのか!?」と思ってしまいました。
しかし11Rに井上が起死回生の左ボディでドネアがダウン! ドネアの足が完全に止まり、井上が一気にKOまで持っていくかと思いましたが、ドネアも巧みにしのいで体力を回復しました。
見ごたえのある展開に興奮しまくりでした。
たとえるなら、約50分の試合のなかに、週刊マガジンのボクシング連載漫画「はじめの一歩」の半年分の連載内容が詰め込まれたような、そんな濃密な時間でした。
これまで井上選手は圧倒的な強さで勝ってきたので、顔を腫らしたり出血したりする姿はショッキングでした。井上選手自身も初めての経験できっとパニックになったと思いますが、しっかり試合を立て直して逆転するという、メンタルの強さも見せてくれました。
本当にすばらしい試合でした。
井上選手、これからも応援しています!