よく「投資におけるリスク」という話題になると、「価格変動リスク」とか「値下がりリスク」とか「流動性リスク」という言葉が登場してきますが、それらは実際のところ、たいしたリスクではありません。
投資商品自体がリスクを持っているわけではない、ということです。
投資における最大のリスクは、自分自身の内側にあります。
つまり、自分が抱いている「投資に対するまちがった(偏った)考え方」や「投資に関する知識・経験の無さ」こそが、本当のリスクなのです。
ウォーレン・バフェットが教えを受けたベンジャミン・グレアムは、次のように語っています。
「投資家の主な問題、場合によっては最悪の問題は、自分自身であることが多い」。
(アスペクト社「世界一シンプルなバフェットの投資」より)
故事にある「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」(敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはない)と、言わんとしていることは同じですね。
僕がいつも注意している「自分自身の内側にあるリスク」は、次の2つです。参考になれば幸いです。
①「よく知らない」リスク
知らないことは、それだけで投資リスクになります。
- 投資する商品の売買ルールを知らずに投資する
(追加保証金の制度を知らずに信用取引をやる、等) - 投資する企業のことを何も調べずに投資する
(誰かがおすすめした銘柄を鵜呑みにして買う、等) - 自分の投資記録を顧みない
(どの銘柄でどの程度損しているか把握していない、等)
知らないことが多すぎると損をしやすくなるのは当然ですが、それに加えて、知らないことが多すぎると、ちょっとした株価の下落にも不安をおぼえやすくなり、あっさり狼狽売り(損切り)をしてしまいがちです。僕は何回かそれで失敗しました。
「しっかり調べてから投資する」「知っているものにしか投資しない」が鉄則です。
②「株の持ちすぎ」リスク
資産に占める株保有の割合が高いと、投資リスクが増します。
たとえば2人の投資家がいて、
・Aさんは1億円の資産をもっています。
・Bさんは100万円の資産をもっています。
この2人が、最低取得単価70万円のトヨタ自動車(7203)の株をそれぞれ買います。
その後、運悪くトヨタ自動車が倒産してしまい、株の価値がゼロになったとします。
- Aさん(資産1億円)は70万円を損して、全資産の0.7%を失う
- Bさん(資産100万円)は70万円を損して、全資産の70%を失う
となり、資産がすくないBさんのほうが、あきらかにダメージが大きいです。
Bさんのように、資産の70%を占めてしまう銘柄に投資するのは、やめたほうがよいです。
この場合、もっと取得単価の安い株を選んで投資するか、もしくは、どうしてもトヨタ自動車の株を買いたいなら、ミニ株(単元株未満の株数を買える制度)を利用するのがよいです。
ありきたりですが、「身の丈を知る」「最悪の事態を想定する」ことが大事です。